市川海老蔵、初めて自身の名前を冠した「初春海老蔵歌舞伎」に込めた次世代への期待 | U'beaute – ユーボーテ

2021年で8年目となる新橋演舞場での初春歌舞伎。今回初めて「初春海老蔵歌舞伎」と題し、今の時期にふさわしい4つの演目を披露します。自身の名前を付けた公演にかける想いと、コロナ禍に見舞われた一年間についてお話を伺いました。

 新型コロナウイルス感染症の流行により、未曽有の危機に見舞われた2020年。エンターテインメント業界は大打撃を受け、多分に漏れず歌舞伎の興行も中止を余儀なくされました。

 2020年は市川海老蔵の十三代目市川團十郎白猿の襲名、また、堀越勸玄は八代目市川新之助の襲名を控えていた記念すべき年でしたが、時期未定の延期に。このような苦難の状況でも歌舞伎の灯を絶やさず、新たな挑戦として、2021年1月3日(日)から新橋演舞場にて「初春海老蔵歌舞伎」が上演されます。

2.初めて自身の名前を冠した「初春海老蔵歌舞伎」

 「初春海老蔵歌舞伎」の上演に先駆けて、座頭の市川海老蔵が記者懇親会に出席しました。初めて自身の名前を冠した歌舞伎公演について海老蔵は「どのような形でこのような公演名になったかということは、正直私もさほど分かっておりません。しかしながら『海老蔵歌舞伎と名乗って良い』というような、松竹さんの判断があった」と経緯を説明しました。

 そのうえで「『海老蔵歌舞伎』と最初に聞くと、奇をてらったことをするのではないのか、何か新しいことをするんじゃないのかと思われる方もいるかもしれません。しかし、やはり古典を追求し、四代目市川ぼたんや勸玄というような若い世代の人たちを、日本の伝統文化を支える次世代として、教育しながら修業しながら、きちんと見守る、ということをコンセプトに、今回は『海老蔵歌舞伎』という名称にさせていただいたのだと思っております」と、自身が込める想いを語りました。

3.暗い世の中に元気を与える、お正月らしさ全開の『毛抜』

 演目は『春調娘七種』、『毛抜』、お正月特別企画「お年玉」として『藤娘』と『橋弁慶』の4つ。海老蔵は、成田屋のお家芸である歌舞伎十八番の『毛抜』で新年の幕を開けます。

 この演目を選んだ理由について「昨今、新型コロナウイルスやさまざまなことで、大変苦難の日々でございます。皆さまと同じように、昔のような喜び方、楽しみ方、遊び方、そういったことが困難で、子ども達も外で思いっきり遊んだり、思いっきりお喋りしたり、そのようなことがなかなかできない。なんとか元気の出るような演目をということで」と述べました。

 さらに具体的な内容にも触れ、「粂寺弾正(くめでらだんじょう)という勇猛かつ頭脳明晰でありながら、男の余裕、そして色事・色気という部分」と役柄の見どころを紹介。そして「市川家に伝わる5つの型の見得をご覧いただき『お正月らしいものを見たな』と思っていただけるように」と、新年を意識した選定であることも強調しました。

4.四代目市川ぼたんのさらなる成長を魅せる『藤娘』

市川ぼたん

 新橋演舞場の1月公演に4年連続の出演となる、海老蔵の長女・麗禾こと四代目市川ぼたん。

 今回は、舞踊の名作『藤娘』にて、華やかで可憐な“藤の精”に挑戦します。父であり師匠でもある海老蔵は「女形の舞踊のなかで、かなり高度な技術やさまざまなものが必要なのが、実は『藤娘』でございます。歌舞伎の舞踊家として、日本舞踊家として、彼女が精進したいという気持ちから」と、舞踊家としての成長ぶりを披露するのにふさわしい演目を選んだと期待を寄せている様子です。

5.海老蔵と勸玄の親子共演に注目が集まる『橋弁慶』

勸玄

 弱冠7歳にして3年連続の初春歌舞伎出演となる、海老蔵の長男・堀越勸玄。2020年1月上演の『め組の喧嘩』に引き続き、今回も親子共演を披露します。

 『橋弁慶』では、勸玄が牛若丸を、海老蔵が武蔵坊弁慶を務めることについて「男が主従三世の契りを結ぶ場面を舞踊でご覧いただく。倅が義経、私が弁慶になることによって、今後私が『勧進帳』を務める折に、彼が義経を務めたときの伏線として布石を置く」と、近い将来に実現されるであろう『勧進帳』の親子共演を、さらにドラマチックなものへ仕立てるための計画を温めていると告白。今後の活躍も目が離せません。

6.多忙な子どもたちが希望する“お年玉”とは

 お正月の特別企画「お年玉」と銘打った『藤娘』と『橋弁慶』になぞらえて、お父様に何かおねだりしたい“お年玉”があるか尋ねられると、勸玄は「ゲームしていい?」と許可を求め、「夢は24時間ゲームをすることです!」と元気いっぱいに答えました。これに対し海老蔵は「どんどんとゲーマーの道へ向かっているという……。歌舞伎の方へ修正したいな」とたじたじ。会場の笑いを大いに誘いました。

7.思いがけず訪れた親子水入らずの一年間

 2020年5~7月は市川團十郎白猿の襲名披露が予定されており「子どもとの時間はあくまで“師匠と弟子”で、父と子という時間は多分ないものとして時を過ごさなくてはいけない」と覚悟していたのだとか。しかし、新型コロナウイルス流行により、同襲名披露公演はすべて延期。当初の予定とは真逆に、朝から晩まで子どもたちと一緒に過ごす生活を送っていたといいます。

 「やはり私が歌舞伎俳優で多忙がゆえに、それを言い訳にして、子ども達の本当の姿を見られていなかった部分もある」と反省点に気付いたそうで、「より子どもの時よりも、少し笑顔が減ったのかな、と正直思いました。これはいけないなと思い、ふざけた話から真面目な話までするうちに、親子の絆が深まり、笑顔が元に戻っていく」と、父として向き合った日々の尊さを振り返りました。

8.2021年の抱負は

 新年への期待が込められた「初春海老蔵歌舞伎」。2021年の抱負を尋ねられた海老蔵は、「個人的には新型コロナウイルスが終息して、経済がどんどん回り、多くの方が感染せず、そして元気になっていただきたい」と世の中の平穏を祈りました。

 そのうえでエンターテインメントや舞台芸術、日本伝統文化の俳優・役者陣が活動できるのだとして「我々はひたすらこつこつと、今与えられている責務、歌舞伎というものに対して進んでいくことを根本に置きながら、かと言いつつも何事にも捉われず、風のように一年間過ごしていきたいなというような思いでございます」と締めくくりました。

 すでに「初春海老蔵歌舞伎」のチケットを手にしたお客様へ向けては、「今のところかなり多くの方々が来ていただくというような動きだそうでございます。このようなコロナ禍の中でも『海老蔵見てやろう』もしくは『海老蔵の娘や息子を見てやろう』、また、他の俳優陣を見ようじゃないかというお気持ちになっていただいて、本当にみんなに代わって改めてお礼を申し上げます。

 みんなのお芝居が一緒に共有できると思いますので、ぜひお気を付けて新橋演舞場までお越しください」とメッセージを送り、終始お客様への心遣いがあふれる会見となりました。

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