市川海老蔵、親子共演や秋元康書き下ろし「忍者歌舞伎」を語る | U'beaute – ユーボーテ

市川海老蔵が座頭を勤めて7年目を迎える「初春歌舞伎公演」の会見が開かれます。海老蔵名義での出演が最後となる節目の公演で、市川海老蔵の長女・市川ぼたん、長男・堀越勸玄が出演する“親子共演”もみどころです。

 2020年1月3日(金)から新橋演舞場にて上演される「初春歌舞伎公演」。座頭を勤めて7年目を迎える市川海老蔵が記者懇親会に出席しました。同年5月に市川團十郎 白猿(はくえん)を襲名予定で、海老蔵名義で最後となる公演への意気込みを聞かれると、「意気込みというような気負ったことではなく、やるべきことをやっていくだけ。名前が変わったからといって、人や芸が変わるわけでもないので。少しずつ努力を積み重ねようという感じですね」とストイックさが垣間見えました。

團十郎襲名に向けて成田山新勝寺で修業

 会見当日の朝まで、成田山は新勝寺に籠もって修業を積んでいたという海老蔵。「実際に修業を体験して、初代市川團十郎はこの道を通ったうえに、今の芝居の元を創ったんだなということが、ぼんやりからずいぶん確信に変わった」、「このたびの厳しい修行のなかには、成田屋として知っておかなければならない知識が宝庫のように詰まっておりました。私にとって非常に価値のある経験を積んだなと思いますね」と修業の成果を振り返りました。

海老蔵と秋元康の交流が生んだ新作“忍者歌舞伎”

 音楽プロデューサー・秋元康が書き下ろすことで話題の新作歌舞伎「NINJA KABUKI 雪蛍恋乃滝」。“忍者”というキャッチーな題材が大衆の注目を集めていますが、「ようやく台本ができてきたところ。イメージとすると、ロミオとジュリエットのような雰囲気がちょっとあるのかな?」と全容は明かしませんでした。

 続いて、市川海老蔵×秋元康という異例のタッグはどのようにして生まれたのかについて、「普段から私と秋元さんとは面識がございまして、ぜひ一度歌舞伎に対して何かやってもらえないですかと」と、以前からオファーしていたという海老蔵。さらに、「たまたま会うことがものすごく多い方で、サウナとかでバッタリ会ったときによくそのような話をさせてもらって。いつだったか、『忍者歌舞伎なんかどうかな、海老蔵』って話になって」と、以外な交流エピソードを明かしました。

市川海老蔵が信頼を寄せる、秋元康のプロデュース力

 そんな“忍者歌舞伎”を支えるのは強力なスタッフ陣。秋元康とともに演出を手掛けるのは、オペラ界を中心に活躍中の田尾下哲。また、美術と照明はそれぞれ海外からプロフェッショナルを招聘し、歌舞伎の世界に新たな風を巻き起こす予兆を感じさせます。「どういったことになるのか私も楽しみです。歌舞伎でどういう風にやるのかは、歌舞伎をものすごく知っているか、歌舞伎をまったく知らないかでなくちゃできないと思う。それが秋元康という人物であるならば、そういうことができるのかなという期待感がやはりあります」と全幅の信頼を寄せている様子。

 さらには、“忍者歌舞伎”について勸玄が興味津々だそうで、「倅がね、どうしても出たいということで。(秋元さんに)聞いてみたら『(従来版と勸玄出演版の)2パターン考えてあるよ』と。」と、勸玄が昼の部・夜の部どちらにも出演する方向で進んでいると話しました。

re_dsc_0202-1-6418444

ファン必見の“親子共演”「親としてみればうれしい」

 夜の部1幕目「神明恵和合取組 め組の喧嘩」では、海老蔵がめ組辰五郎を、長男・勸玄が又八を勤めます。この“親子共演”について海老蔵は、「歌舞伎で親子共演ができる時間は限られていますよね。そういう意味では又八を倅がやるというのは今しかないわけですから。倅がうれしいかどうか分かりませんけれども、親としてみればうれしい」と頬をほころばせました。

 さらに、夜の部2幕目「新歌舞伎十八番の内 雪月花三景 仲国」には、2019年8月に市川ぼたんを襲名した長女・麗禾が出演し、2演目続けての親子共演というファンにはたまらない構成に。「まだ幼少期のうちは女の子が歌舞伎に出ても問題ないという暗黙のルールがございます。彼女としましては、襲名した以上は歌舞伎に関わりたいという気持ちがありますので」と、市川ぼたんが同公演にかける熱意を伺わせました。また、「普段はなかなかやらない演目の『雪月花三景』を、新しく舞踊仕立てとして作り変えてご覧にいただこうかなと。古典らしいけれども見たことのない形を作っている最中です」と、創作の新たな挑戦に期待がかかります。

re_e3828ce38184e3818befbc92-1-1377297

守り、攻め、伝えて、挑戦する

 歌舞伎の世界に新しい題材や手法を取り入れつつ、長い間上演されることのなかった成田屋のお家芸「歌舞伎十八番」の復活上演に力を入れている海老蔵。「古典をしっかりと受け継ぐ演目もあり、そして新しいことに挑戦する意欲もあるということを継続していくことは大事ではないかなと。守っていく、攻めていく、伝えていく、挑戦するというさまざまな意味が私の中ではあります」

微笑ましいバースデーサプライズ

 会見の後半で突如、会場内に「HAPPY BIRTHDAY TO YOU」の音楽が。この日42歳の誕生日を迎えた海老蔵へのサプライズが計画されていたのです。子供たちが音楽に合わせて合唱するなか、特大のケーキが運び込まれると「なんだこれ!変な汗かいた」と驚いた様子を見せました。

re_dsc_0357-7342123

 「麗禾から先ほどプレゼントの手編みのマフラーを貰いまして。宝物になっちゃいますね」と喜びを隠しきれず、たちまち父の顔を覗かせる海老蔵。成田山での修業中、親子離れ離れで過ごしている間に麗禾がこっそりと準備していたことを、弟の勸玄が得意そうに話しました。改めて42歳の抱負を尋ねられると、「同じような内容になりますが、市川團十郎 白猿になるという大きなお役目もございますから、歌舞伎界にとっても、私自身にとっても、また日本の文化ということに関しても、大切な年としてとらえないといけないのでね。懐が深い役者になっていきたいと思っています」と決意を語りました。

Copied title and URL