400年以上の歴史を持つ京都・南座。日本で最も古い芝居小屋で今冬、満を持して演じられるのが「イマーシブシアター サクラヒメ~『桜姫東文章』より~」です。ニューヨークで話題の体験型演劇・イマーシブシアターを取り入れた本公演の記者会見が、都内にて行われました。
松竹株式会社代表取締役副社長/演劇本部長の安孫子正氏は「新しい芝居に挑戦し続けることが、京都・南座の使命」と語ります。
「歌舞伎のルーツは、出雲の阿国によるかぶき踊り。いわば現代のストリートダンスです。400年以上が経過した今日も歌舞伎が行われているように、本作は100年、200年先に向けての大きな演劇の出発点になる。インバウンドのお客様も多くいらっしゃる京都、さらに南座という新しい空間のなかで、新たな文化を発信していきたい」と期待を寄せていました。
没入感にあふれた演劇形態・イマーシブシアター
「時代の大きな流れとして、エンターテインメントが“鑑賞”から“体験”に移行している」と話すのは、株式会社DAZZLE代表の飯塚浩一郎氏。本作の脚本、演出を手掛けるダンスカンパニー・DAZZLEは、日本におけるイマーシブシアターをけん引する存在です。
演者と観客が同じ空間に存在し、演者が移動しながらパフォーマンスが行われる新しい演劇形態「イマーシブシアター」。同時多発的に行われるパフォーマンスから、観客は自分の意志で「何を観るのか」選択し、鑑賞することができます。「ニューヨークや上海など、イマーシブシアターは今、世界で非常に注目を集めています。客観的にパフォーマンスを観ているだけでなく、その作品に参加してお客様の意志で観たい物語を決めていく。今までにない新しい体験を提供できると思います。」と本作の魅力を語ります。
17年間の宝塚歌劇団生活で培ったものを南座で発揮できれば
純矢ちとせさん
そんな本作でヒロインを務めるのは、宝塚歌劇団退団後、初舞台となる純矢ちとせさん。5人の男性から思いを寄せられるサクラヒメを演じます。
「伝統ある南座の舞台に出演させていただくことを、とても光栄に思っています。またイマーシブシアターということで、お客様を間近に感じながら舞台を努めることができるのも今から楽しみにしております。」としたうえで「結末が毎回変わるので、観てくださるお客様にも何度でも楽しんでいただけるのではないかと思っております。幼少期や宝塚歌劇団でも学んでいた日本舞踊に加え、三味線、歌、ダンスなどすべて精一杯努めて最高の舞台を作りたいと思っております。」と意気込みました。
物語のエンディングを決めるのは、あなた
川原一馬さん
サクラヒメを取り巻く5人の男性役には、タップダンス、剣舞、ストリートダンス、アクロバット、歌唱…など各ジャンルにおけるトップクラスのパフォーマーが集結。
フルフラットの1階席はもちろん、2、3階席でも各々の個性を存分に発揮したパフォーマンスを披露します。
「お客様を間近に感じることができる本作。僕たちがお客様にアプローチするなど、面白いことがおきるのでは」「ぜひ2、3階席でのタップダンスのパフォーマンスを観てほしい」と語るのは川原一馬さん(陰陽師役)。
荒木健太朗さん
「京都という場所ですから、日本の方のみならず、世界の方もいらっしゃるのではないかと思います。そのなかで「日本人が何か面白いことをやっているな」と世界にアピールできたら、素晴らしい公演になるのでは」という荒木健太朗さん(浪人役)。「日本独自の美しい武器・刀を使って、和のテイストを入れていきたい」とのこと。
FANTASTICS from EXILE TRIBEの世界さん(義賊役)は「普段はドームなどの大きなステージに立つ機会が多く、どうしてもお客様とステージが切り離されていることが多い。」のだとか。「表情一つ、指先一つなど、近い距離ならではのパフォーマンスを隅々まで観ていただければ」と見どころを口にしました。
世界さん
MAG!C☆PRINCEの平野泰新さん(鳶役)は、本作が舞台初出演。「約10年間やってきた新体操で培った表現力やアクロバットを舞台にいかして、お客様に楽しんでいただけるように頑張ります」と期待に胸を膨らませています。
Beat Buddy BoiのToyotakaさん(町医者役)は、「16歳の頃からストリートダンスをやっており、アメリカのヒップホップカルチャーに影響を受けていた」とのこと。「そのなかで日本人として何かできないか、と模索し続けていた」としたうえで「自分がストリートダンサー、表現者、ひいては日本人として南座の歴史あるステージに立てることをすごく誇りに思う」と聞かせてくれました。
平野泰新さん
運命の相手は誰なのか…決めるのは「雲上人」と呼ばれる2、3階席のお客様。ふさわしいと思った男性の札を挙げていただき、一番投票数の多かった男性とのラストに向かう、という「マルチエンディングスタイル」が採用されています。
Toyotakaさん
まさに舞台と観客とが融合し、一体となることで完成する本作品。新たな演劇のカタチを一緒に作り上げてみてはいかがでしょうか。