引きこもりから女子プロレス界のアイコンへ、その半生とは? | U'beaute – ユーボーテ

女子プロレス団体スターダムの1期生としてデビューし、2019年には女子プロレス大賞を受賞。自身初の自伝「引きこもりでポンコツだった私が女子プロレスのアイコンになるまで」(彩図社)も出版し、今では名実ともに女子プロレス界のアイコンとして躍進する、岩谷麻優選手。その身体能力や受けっぷりの良さは抜群のプロレス・センスの持ち主といえます。そんなトップレスラー岩谷麻優選手の半生とは。プロレスをはじめたきっかけから新人時代、これからについてお話を伺いました。

 高校を中退し、約2年間引きこもっていた時、兄が偶然男子プロレスの番組を見ていて、直感的に興味をもち、「なんだこれ?」と思い、刺激的すぎてファンになりました。そして男子プロレスの有料コラムを読むためにサイトに登録もしました。それがプロレスの世界に入るきっかけです。

2. 人生を変えるために即実行

 登録している有料サイトを見ていたら、女子プロレスの風香GMのコラムに「新人募集」があり、すぐに連絡しました。同級生が進路に悩んでいるときに、自分にはなにもなくて…プロレスラーになれたら好きな選手と繋がれるかも、平凡で退屈な人生が変わるかもと思い、後先考えずに即実行しました。

3. 理想と現実の壁に直面した新人時代

 プロレスラーになった当初は、腕立て伏せが1回もできないほどガリガリで、周りはみんな空手をやっていた人や女子プロレスファンだったので、私はすぐにやめると思われていましたね。そして、リングの硬さに驚きました。毎日あざだらけになって、それでも戦っていてみんな超人なのかと(笑)。

4. ボロボロになりながらも、生きている実感と喜怒哀楽の感情が芽生えた

 レスラーになって友達ができたことがうれしくて、練習後にご飯を食べに行ってワイワイして、充実感が半端なかったです。練習で疲れ切ってボロボロになっても、喜怒哀楽の感情が芽生えて、生きている実感がわきました。

5. ファンの方と先輩に支えられた、負け続けてきた時代

 デビューして1年くらいは、勝てずに負け続けて、“一番下の人”として扱われていました。その頃は、楽しいより辛いという思いが大きかったけれど、家出してきたので、もう行き場がなくて…なんとかリングに立っている状態でした。それでもファンの皆さんに支えてもらって、脇澤美穂さん(2014年引退)という尊敬できる先輩にも巡り合えて、今日まで続けられています。

6. 最終的に輝くために、“逃げ”は悪いことじゃない

 練習についていけずに辛くて、プロレスがイヤになって何度も逃げました。今でも逃げることはあります。逃げることに対して申し訳ないという思いもあって心苦しかったけれど、自分を認めてくれる団体のおかげもあり、好き勝手できて結果的には団体のトップにもなれたし女子プロ大賞もとりました。逃げたいときに無理して踏ん張っていたら、プロレスがいやになっていたと思うんです。なので、ずっと頑張り続ける必要はないと思います。

 最終的に輝くために、時には逃げることも必要なんじゃないかな。

7. 自分の限界を超えたとき

 紫雷イオ選手(NXT所属)と戦い、ライバルに食らいついていくときに、はじめて自分の限界を超えました。パワーとかスタミナの問題ではなく、ランナーズハイのような状態になり、「もう無理だろう」の先が見えました。最近では、アイコンとして限界に行かざるを得ない試合が多く、必然的にそうなってしまいます。

8. 個性を引き出せるリーダーになりたい

 スターダムにはいくつかのユニット(グループ)があり、私はSTARSというユニットのリーダーを務めています。リーダーとしてユニットのメンバーの個性を引き出すために“否定しないこと”を大事にしています。なので、怒ることもないです。リーダーは引っ張る人やまとめる人が多いですが、自分はそのタイプではないんです。みんなが同じように発言も行動もできるようにしたいと思っています。「麻優さんには何でも言える」と思ってもらえる、そんな存在でいたいですね。

9. 自身が自分のファンになることでプレッシャーに打ち勝つ

 最近はメインイベントになることも多く、もちろんプレッシャーはあります。以前はタイトルマッチが怖くて逃げたこともあるくらいプレッシャーに弱かったのですが、今は自信があって、自分がプロレスファンだったころの理想の選手になれていると思います。リングに上がった私はオーラがあって、自分が自分の一番のファンです!

10. 感情のままに伝えるマイクパフォーマンス

 あらかじめ試合後のマイクパフォーマンスを考えていたこともあったのですが、試合をしていたら忘れちゃうので(笑)、今は感情のままにしゃべっています。そのほうがお客さんにも伝わって、感情移入して聞いてもらえると思います。元々しゃべることは苦手で、喋り慣れていないので噛むこともよくありますよ。

11. 生きている証、プロレスは人生そのもの

岩谷麻優選手

 なんの特徴もなかった平凡な日常を変えてくれたのはプロレスで、プロレスは人生そのものです。プロレスの日(2月19日)に生まれた私は、プロレスラーになるために生まれてきたのだと思います。プロレスの神様みたいな気持ちです(笑)。

12. 岩谷麻優を一緒に創ってほしい

 私はファンの方を振り回すタイプで末っ子気質です。

 ハラハラドキドキする瞬間が多く、私のファンになると結構大変だと思うんですが、その分包容力のある方が多いと思います。これからも一緒に岩谷麻優を創っていってほしいです。

13. 喜怒哀楽を感じられる女子プロレスの世界でトップを走りたい

 女子プロレスは、ドラマのように感情が動いているので、ファンの方はのめり込んで見られると思います。さらに、スターダムは個人のキャラが強く、喜怒哀楽もあって、どういう人なのか分かりやすいですし、ユニット毎のチーム力も感じられます。年末年始に向けて大会が増えてくるので、まずは一歩を踏み出して観に来てほしいです。女子プロレスのブームが来ていると思うので、女子プロレスへの偏見を変えていきたいですね。

 そして、これからも私がトップを走っていきたいと思っています。

~プロレスラー・岩谷麻優の愛され力~

 リング上でのファイトスタイルと同様、どんな質問もまっすぐに受け止めて期待以上の回答を返してくれる岩谷選手。インタビューを行う中で、どんどんと岩谷選手ワールドへと引き込まれていきました。

 キラキラとした笑顔で人生そのものであるプロレスへの愛情と情熱を語ってくれる姿に接し、世界中のファンに愛されるプロレスラー・岩谷麻優の愛され力を実感しました。

 インタビューの最中、時折可愛らしい犬が現れて岩谷選手の下にそっと寄り添っていました。動物にも愛されている、とても素敵な光景でした。

写真(C)STARDOM

岩谷選手の所属団体と今後の大会情報

~明るく、激しく、新しく、そして美しく!~

女子プロレス団体「スターダム」

スターダム10周年記念イヤー夢の祭典~プロローグ~ 『OSAKA DREAM CINDERELLA』 日程:2020年12月20日(日) 開場3:00PM/開始4:00PM

会場:エディオンアリーナ大阪(大阪府立体育会館)第1競技場

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